2014/08/26

「いい石だしてるツアー with 家族」 3

寒い!あわてて上着を取り出して着ていると東の空が瞬く間に明るくなっているのがわかる。まずい、このままでは日の出に間に合わない!山頂までは金谷山リフト(日本でのスキー発祥地)の2倍の長さであろう山道を徒歩で登らないといけないのだ。

東の空は青から白へ、そして紫へと刻々と変化する、その周辺の雲は赤く照らされてとても言葉では言い表せない幻想的な世界。俺は空気の薄い中で苦戦する家族を置き去りにして夢中で山道を駆け登った「あの朝日をもう一度見たい」そんな思いが俺を突き動かしているようだった。
30分ほど登って足が重くなり始めた頃に巨大なアンテナ塔が見えた、山頂まであともう少し。すると寝間着姿で日の出を待っている老夫婦に会った「今日は見れますよね?」俺が言った、「絶好だよ」と答えるご主人。この場所でこの時間なら挨拶や目的を語る必要はない、誰もが同じ気持ちなのだ。

見た感じ定年退職して老後を楽しんでいるという夫婦はトレッキングがてら山頂のヒュッテに宿泊していたらしい、昨日の朝はガスが立ち込めて日の出を見ることができなかったのだそうだ。3人で眺めの良い場所を探しているとようやく遅れて家族が到着した。時刻はまもなく5時になるところ、周囲はすっかり明るくなり、空の彼方まで広がる雲の海に近隣の山々の頂が浮かび上がっていた。