2013/01/06

もう1人の親父

高校野球が好きなご主人の話を覚えていますでしょうか?

4日の朝にご主人が亡くなったという連絡を受けました、患っていた思い病が原因だそうです。去年の夏にお会いした時は乗り越えたかのように見えましたが、現状は思わしくなかったようです。

実はこのご主人は親父の中学時代の同級生で、私が小さい頃はよく我が家に遊びに来て親父と酒を交わしたりして楽しそうにしていたのを覚えています。友人の息子である私を我が子のように扱ってもらい、いつも「ヒサト」と呼び捨てで呼んでくれたり、学生時代にパチンコに明け暮れていた俺を真剣に叱ってくれて、斎場でばぁちゃんを見送った後に号泣していた俺の方を叩いてくれました。血のつながりの無い人に対しここまでの愛情を注げる人間として心から尊敬していました。

体調を悪くしてから大好きなお酒を我慢していたでしょうから、伺う前に清酒を買って可能な限りの心の準備はしておいたつもりだったのですが、お顔を拝見したと同時に感情を抑えきれず泣き崩れてしまいました。ですがそこにはもう肩を叩いてくれる人はいません。

死はこの世に生を受けた時点で必ず訪れるもの、その悲しみを乗り越えるのは残された者の絶対の義務であり、それが去ったものに対する一番の供養になると信じています。 人生を旅とするならば死は故郷へ帰るのと同じ、決して悲しいことではなく、厳しい旅が終わるあの安堵の想いつながるはず。

俺が高校野球中継を必死に聞く理由が1つ減ってはしまったけど、あの暑い夏はまた必ずやってくる。今年の夏はラジオのボリュームを少しだけ上げて空を見上げてみよう。

天まで届け!