2012/09/20

ラー油を加えるとマーボー豆腐に変化する奇跡

体が慣れていないせいもありますが、一気に寒く感じるようになってきました。夏場に水槽用のヒーターを外している人は忘れずに設置しておいてください。毎年手遅れになっている話を聞きます。

寒くなると熱い食べ物を欲するもので、「たちばな」ではないとん汁に挑んできました。その店の存在は高校時代から知っていたのですが、あまりにも店の異様な風貌に一生立ち入ることはないと思っていたのですが、セブンスの常連様から「自分の中のとん汁の常識を覆す」ような事を聞きましたので覚悟を決めたわけです。

某テレビ番組で注目され始めた「きたない店」をそのまま具現化したような雰囲気、アルミサッシの入り口にはカレンダーの裏にマジックで手書きしたメッセージが貼り付けられている。がしかし、店内には数人のお客がいるようなので山中の野宿に比べれば気分はラクだった。入り口をガラリと開けると同時にステテコに前掛け姿の大将から「いらっしゃい!」の掛け声に少々面食らうものの、壁に貼られた変色した紙のメニューに載ってるとん汁定食をオーダー。出てくるまでの時間を利用して店内をじっくりと観察する。

テーブル席の他には無理やり作ったような畳の席が2箇所、隅には絶対に売れないであろう埃をかぶった釣具が置かれていた。テーブルには調味料が並んでいるが、何かの珍味が入っていたであろうガラス瓶のフタに穴を開けた容器に七味が入れられていた。瓶の蓋は錆び始めていて、中の七味は見るからに痛んでいる様子、これは使わない方がよさそうだ。ソースの容器の周りには乾燥したソースがこびりついており、同じく醤油も危険な感じ。そして一番の疑問は大瓶のラー油が置かれていた事、メニューを見てもラー油を使うようなものは無いのに全ての席にコレが置いてある、まさかとん汁に大量に入れるのが常連スタイルなのか!?

などと詮索しているうちに登場したとん汁定食、同じ大きさの丼にとん汁と白米が盛られていてボリュームは十分これぞ王道スタイル。緊張の一口目は豆腐から…おぉっ!鰻屋秘伝のタレが如く継ぎ足されているのだろうか?比較的白みを帯びる物の他に茶色くなったものがあるのだが、その豆腐には中まで味がしみこんでおり、これだけで飯が食える!これは今まで体験したことがなかった、玉葱は姿を消す一歩手前の状態で汁と同化し甘みと旨みをを出し切っているし、主役のばら肉も口の中でほぐれるほどの柔らかさで、こちらも味がしっかりとしみ込んでいた。 くぅ~、これは久しぶりにやられたなぁ~。

この味ならちゃんとした店にすれば行列ができると思うけど、今の店とこの程度の来客数じゃなきゃこの味を維持できないんだろうな。会計の時に俺は滅多に言わない「美味しかったです」の一言を大将に捧げさせていただきました。それを照れながら受け止める大将の姿がまたクールなのでありました。

B級に生涯を捧げる生き様こそ男のロマン、カッコイイとはそういう事で御座います。